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Blog Nowhere

I'm a real nowhere man, sittin' in my nowhere land...

Southbound  

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南に向かう旅の話。



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コンコースから自動ドアを抜けて18番線ホームへ。
秘密基地感満載で、わくわく。

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列車の鼻面にも雪。
ホームは地下にあるので、直接降りかかることはないのだけれど、来る途中に降った雪が溶けずに残っていたのだろう。
それくらい寒い日だったのだ!

改札のようなものはなく、ホームにいた係員に予約時のプリントアウトを見せて乗車する。

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個室寝台の中。
座席は、進路に沿うように配置されている(日本の電車のボックスシートと同じような配置)。
室内は恐ろしく狭く、スーツケースは通路にある荷物置き場に置かざるを得ない
(預けることも出来るらしいが)。
まぁ、発車してしまえば逃げ場もないし、持ち逃げされることもないだろう。

まだ出発前だというのに、食事の準備が出来た旨のアナウンスがあり、隣の車両の2階にある食堂に向かう。

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にぎわう食堂車。

個室寝台の料金には、食事代(夕・朝・昼の3食分)が含まれている。
ネット上には、以前この路線に乗車した方の記録があり、それによるとステーキを始め、列車とは思えぬまともな食事を取ることができる!ということで期待していたのだが、実際に供されたのは…。

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…これですよ。
塩辛い肉(ハム)の挟まったサンドウィッチと、ピクルスとポテチ(ビールは別料金で追加した)。
…。
コストダウンのためか、2~3年前にメニューの改変が行われ、こういった簡素なディナーになったようです。
This train's got the disappearing railroad blues…

この夏休みなど、シティ・オブ・ニューオーリンズ号でシカゴからニューオーリンズに向かう旅行を計画している方がいたら、どうかこれだけは覚えておいてください。
飯はまずい!

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生温かいサンドウィッチをもそもそと齧りながら、雪のシカゴにお別れ。

食事を終えて一旦個室に戻り、係員に座席をベッドにしておくようお願いしてから、シャワーを浴びにゆく。
寝台列車の客は、共用ではあるが、シャワーを利用できるのだ!
湯船でもあればつかりたいところだったのだけれど、冷え切った体にはシャワーだけでもありがたい。
恐ろしく揺れるせいでお世辞にも快適とは言い難かったが、ライフポイントはやや復活。
そのまま泥のように眠…れたら良かったのだけど、寝心地がこれまた最悪で…。
進路に沿って設置されている座席がそのままベッドになるため、仰向けに横たわると、車輪の回転による振動が前後の運動として頭蓋骨に伝わってくるのだ。
脳がシェイクされて、パンチドランカーにでもなりそうな勢い。
おまけに踏切が多いのか、ひっきりなしに汽笛が鳴らされ、うるさくてかなわない。
体はくたくたなのに、一向に寝付くことができず…。
貨物車の片隅で積荷に紛れて柄の間の休息をとるホーボーの気分で(まぁ、彼らの旅は遥かに過酷だったようだが)、うとうとしては目が覚めて…を繰り返す。

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ふと気付くと、不快な振動も耳障りな汽笛も、暫く前から遠ざかっていた。
列車は途中駅に停車しているようだ。
ドアが開いていたので、恐る恐るホームに降りてみれば(発車時刻が分からなかったので)、そこはテネシー州、メンフィス。
サン・レコードのある町だ。

天を目指して駆け上がる飛行機雲を眺めながら、母親のために吹き込んだレコードをきっかけに、史上最も偉大なシンガーと呼ばれるに至った男のことを思う。


そして列車はまた、南に向かって走りはじめる。

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♪Goodmorning America, How are you?


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朝食(シナモン・ロール、コーヒーとライチ・ジュース、バニラ風味のヨーグルト)を終えてから、ラウンジカーへ移動。
緯度的にかなり南下してきたのに加え、ご覧のとおりのガラス張りで、室内はかなりぽかぽか。
ようやく車窓からの景色を楽しむ余裕が出てくる。

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ナショナル・ギターのように輝く、ミシシッピ・デルタ。
「デルタ」という言葉からは河口の三角州が連想されるけれど、所謂「ミシシッピ・デルタ」は、メンフィス~ヤズー・シティー間に広がるミシシッピ川によって形成された平野のことを指すようだ。
ちなみに"The Mississippi Delta was shining like a National guitar..."というぞくぞくするくらい詩的なフレーズは、Paul Simonの"Graceland"で歌われているもので、リゾネーターギターに喩えている様子から察するに、ミシシッピ川沿いの光景を描写しているのでしょうなぁ...。

このエリアは、ブルーズが生まれた地でもあり、日程的に余裕があれば、点在するブルーズ関連のモニュメントを巡ってみたりもしたかったのだけれど、今回は断念せざるを得なかった。


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♪俺は例の四辻に行き、膝まづいて祈ったんだ
神様、どうか連れて去ってくれって
(Robert Johnson/Crossroad)


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♪ルイジアナの深淵部、ニューオーリンズのすぐ近く
常緑樹の森の中...
(Chuck Berry/Johnny B Good)


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ヘッドフォンなんかつけていなくても、車窓から景色を眺めているだけで、色々な音楽が脳内に満ちてくる。


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♪雨が降り始める直前にボビーが親指を上げて止めたトラックが、私たちをニューオーリンズまで乗せて行ってくれたの
(Janis Joplin/ Me And Bobby Mcgee)


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♪俺はスモールタウンで生まれた。
今もスモールタウンに住んでいる。
多分、スモールタウンで死んでゆくのだろう…
(John Mellencamp/Small Town)


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ニューオーリンズに近づくにつれ、こういった湿地帯が多く目につくようになる。
所謂「バイユー」というヤツでしょうか...。
しかし水面がここまで近いと、天候によっては線路も水没してしまうなんてこともあるのではなかろうか。

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...などど思っていたら、もっとすごいものが。
世界最長の水上橋、ポンチャートレイン湖コーズウェイ。
ぬかるんでいようと、水の上であろうと、そこを行くしかないのだ!!

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南部に来たという感じがしますねぇ...。

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午後3時。
予定時刻より30分以上も早く、ニューオーリンズ・ユニオン駅に到着する。
長旅を終えた"The City Of New Orleans"号。
雪のシカゴから常夏のニューオーリンズまで、必ずしも快適ではなかったかもしれないけれど(苦笑)、無事に届けてくれてありがとう。
泣き笑いみたいな、ワイパーの跡。


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今回の旅における、僕の脳内プレイリスト(※オリジナル/カバーは問わず)





















最後に、今日訃報が流れたDr.Johnの曲を。
僕がニューオーリーンズという町に憧れるようになった理由の一つに、あなたの音楽がありました。
いつかクロスロードと悪魔で出くわすことがあったら、魂と引き換えに、あなたみたいにピアノが弾けるようにしてほしいってお願いするつもり。
ご冥福をお祈りします。


category: ウソツキ終末旅行

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