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Friday at Billboard Live Tokyo (ハンバート・ハンバート×Predawn)  

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下手側客席から静かにステージ上がった彼女が、グランドピアノの前に座る。
流れ出す甘美なアルペジオ。
港区の金曜の夜が静かに始まる...。




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1曲目は、"Sigh"。
ピアノ弾き語りから始まる異例のオープニングから想像された通り、この夜のライヴは、特別づくしなものになりました。

通常であれば、対バン形式のライヴというのは、出演者がそれぞれの持ち時間で演奏し、せいぜいアンコールで共演する程度です。
この日もそんなふうに進むのだろうな…と思っていたら、"Keep Silence"、"Universal Mind"と3曲演奏したところで、ハンバート・ハンバートの2人がステージに登場し、"霞草"と"Suddenly"をセッション。
"霞草"はコーラスが加わることで奥行きを増し、フィドルに彩られた"Suddenly"は、カントリーテイストが前面に出てくるなど、バンドセットの時とも一味違う、シンプルだけど豊かな演奏になりました。

ここで美和子さんは一旦引っ込み、ハンバート・ハンバートのセクションになります。
彼らのステージは、前にも一度見たことがあるのですが、正直その時はあまりピンと来ず…。
でもこの日は1曲目の"虎"で、ぐいっと引き込まれる。
「だめだ、だめだ、今日はやめだ/メロディひとつできやしない/酒だ、酒だ、同じことさ/昼間からつぶれて眠る」
…ろくでなしの歌ですよね。
まぁ、この曲の場合は、前提として芸術との闘いというものがある訳ですが、吃音をテーマにした"ぼくのお日さま"、走るのも食べるのも遅い、なんだかちょっと情けないお兄ちゃんに憧れる弟の歌(タイトル、調べたけれど分かりませんでした…)と、「勝者」には決して成りえない者たちをそっとすくい上げる視点は、まさに「フォーク・ソング」。
Woody Guthrieの
"And the songs that I sing are made up for the most part by all sorts of folks just about like you."
と同じ思想がある。
俺、前に見た時は、歌詞をちゃんと聞いていなかったんだろうな、きっと…。

そして、再び美和子さんも加わっての"生活の柄"(高田渡のカバー。ハンバート・ハンバートは、日頃からレパートリーとしているようです)。これがもう、背筋がゾクゾクするくらい良かった!
この曲については、そのテーマからも和製"Hobo's Lullaby"といった印象を持っていましたが、3声コーラスによる歌は、フォークソングを通り越し、ゴスペル・ソングのように聞こえました。
まるで「どん底の人々」の静かな祈りのように。

この後、ハンバート・ハンバートの"おなじ話"を3人で演奏して本編終了。
いや、美和子さん、弾きなれない/歌いなれない曲ばかりで大変そうだったけれど、よく頑張ったと思う!
てか、清水美和子がこれだけ日本語で歌うのは、俺、初めて見たよ。
"霞草"のように完成された歌い方ではなかったけれど、やはりこの人にしか出せない「声」というのがある。
次は全曲日本語のアルバムでもいいかもね!

頑張ったと言えば、アンコール1曲目の"空も飛べるはず"(言わずと知れたスピッツのカバー。僕がスピッツを一番聴いていたのは90年代なので、これまた嬉しい選曲だった!)で、美和子さんはピアノを演奏。
表情までは見えませんでしたが、これまた相当なプレッシャーだったのではないかと推察します。
でも、この人はプレッシャーがあるときの方が、切れ味鋭くなるんですよね。
「空もとべるはず」の「はず」が、確信ではなく願望のように響くはかなげな情景は、この2組でしか描くことのできないものになっていたと思います。

ラストは、美和子さんもギターに戻って、ハンバート・ハンバートの"旅の終わり"。
正味1時間程度のライヴ、MCも多かったけれど(ハンバート・ハンバートはライヴのMCだけ集めたCDもリリースしているようだ…)、すごく長い時間をかけ、遠く遠くまで旅してきた気分になった夜でした…。


セットリスト
1.Sigh/Predawn
2.Keep Silence/Predawn
3.Universal Mind/Predawn
4.霞草/Predawn×ハンバート・ハンバート
5.Suddenly/Predawn×ハンバート・ハンバート
6.虎/ハンバート・ハンバート
7.ぼくのお日さま/ハンバート・ハンバート
8.(タイトル不明)/ハンバート・ハンバート
9.生活の柄/ハンバート・ハンバート×Predawn
10.おなじ話/ハンバート・ハンバート×Predawn
  アンコール
11.空も飛べるはず/ハンバート・ハンバート×Predawn
12.旅の終わり/ハンバート・ハンバート×Predawn


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category: Predawn

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コメント

読むにめちゃちゃ特別なライブですね…
生活の柄含め、日本語詞の歌をたくさん聞けたのは羨ましい!
時間はかかるかもしれないけれど、日本語詞ばかりのアルバム、私もそれあったらいいなと思いますね。
ハンバート、MCだけのCDがあるとは。。。笑!

URL | クララ #-
2017/04/26 01:26 | edit

クララさん

> 読むにめちゃちゃ特別なライブですね…
そうですね。
Predawnのライヴはいつも特別な体験ですが、この日は中でもいっそう特別だったように思います♪

> 生活の柄含め、日本語詞の歌をたくさん聞けたのは羨ましい!
> 時間はかかるかもしれないけれど、日本語詞ばかりのアルバム、私もそれあったらいいなと思いますね。
まぁ、僕がプロデューサーだったら、カバーアルバム(日本語詞、英語詞それぞれ)はもとより、リミックス盤やらクリスマス・アルバムやら、果ては来日記念盤(←)まで次々と作らせているところですけどねっ!
...。

> ハンバート、MCだけのCDがあるとは。。。笑!
クララズもMCだけのアルバム、作ってみてはいかがですか。
他にも、カバーアルバムとかリミックス盤、クリスマス・アルバムや来日記念盤、リマスター、スペシャル・エディション、デラックス・エディションにコンプリート・エディション、25周年記念盤...。
...。
くそう、レコード会社め、さんざん騙しやがって。

URL | stick boy #-
2017/04/27 20:35 | edit

MCだけのアルバム、面白そうですね(笑)
いいですね、アナログ、リマスター、リハーサル音源特集…うっひっひ考え出したらきりがないです。

そういえば、日曜日にモナレコードでクララズ企画ライブします。
クララズ予約のご来場者の方にはエクスプレスの音源が付録についてきますので、直前ではありますがもしもご都合よろしければお越し下さいませ!^^
宣伝、失礼いたしました〜。

URL | クララ #-
2017/04/29 02:01 | edit

クララさん

> MCだけのアルバム、面白そうですね(笑)
> いいですね、アナログ、リマスター、リハーサル音源特集…うっひっひ考え出したらきりがないです。
レコード・コレクターズでも特集が組まれたりして...笑


> そういえば、日曜日にモナレコードでクララズ企画ライブします。
> クララズ予約のご来場者の方にはエクスプレスの音源が付録についてきますので、直前ではありますがもしもご都合よろしければお越し下さいませ!^^
> 宣伝、失礼いたしました〜。
エクスプレスの音源は気になるところですが、日曜日は所用があり、お伺いすることができません。
ごめんなさい。
ライヴの成功が成功するようお祈りしております!

URL | stick boy #-
2017/04/29 21:48 | edit

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