FC2ブログ

Blog Nowhere

I'm a real nowhere man, sittin' in my nowhere land...

画鬼・暁斎~幕末明治のスター絵師と弟子コンドル展  

kyosai001.jpg
三菱一号館美術館で開催されている、「画鬼・暁斎~幕末明治のスター絵師と弟子コンドル展」の感想。


ジョサイア・コンドルと言えば、この美術館のある三菱一号館(今建っているものは、復元されたものですが)や池之端にある旧岩崎邸などの設計者として有名ですが、日本美術にも興味を持っていたようで、工部大学校の教授として辰野金吾らに建築学を教える傍ら、自らは河鍋暁斎に弟子入りして、日本画を学んでいます。


kyosai002.jpg    kyosai003.jpg
左は、コンドルが描いた鯉の図。右の暁斎の手による画の模写です。
2枚の画は、並べて展示されているわけではなく、コンドルのものが先に出てきて、しばらくしてから暁斎の画を見るという順番になっています。
コンドルさん、上手いんです、とても。
生半可な気持ちで、暁斎門下に入ったのではないのだということがわかる。
後進国・日本の美に魅了され、それを本気で学ぼうとする開かれた精神。
頭の柔らかい人だったんでしょうね。
余計なノイズに惑わされることなく、本質を見抜く感性を持っていたのだと思う。

ただ暁斎の画と比べると、無難にまとまっているな...という気もしてきます。
そもそもコンドルは暁斎の画を手本にした訳ですが、暁斎は、単純に池の鯉をスケッチしたというより、観察に観察を重ねて鯉の姿形を頭に入れ、それを一旦分解して、再構築するように描いているように感じられる。
一たび現物のデータを取り込んでしまえば、その扱いは自由自在。
見たことのない角度、ポーズで対象を再生することができる(CGのように!)。
暁斎筆の画の右側中段に鯉を正面から捉えたものがありますが、水中の鯉を正面から見る...という機会って、そうはなかったと思うのです。
それを、いかにも「こうでしょう!」とばかりに描いてしまう技術が、コンドルを心酔させたのでしょうね。
(あと、暁斎の鯉の方が、どことなく生臭~い感じがしました...←)


で、暁斎。

kyosai007.jpg
下方、威圧感たっぷりな白鷲に怯えるお猿さんに注目。
明らかに想像で描いた図なのでしょうが、鷲の堂々たる姿(こちらは、実に写実的)と相まって、実際にこんな光景があったのではないかと思ってしまいます。
頭を抱える猿の姿に、白鷲の迫力がより一層増して感じられ...というフィードバックのような効果が生まれているのも面白い。


kyosai004s.jpg
上の「白鷲に猿図」からも察せられるように、暁斎は類稀なるユーモア・センスの持ち主でもありました。
そんなユーモリスト・暁斎の魅力が最も現れているのといえるのが、彼が亡くなる直前までつけていたという絵日記。
マンガ的タッチでさらさらと描かれている上、お酒のいただきものがあったときにはお酒の妖怪、お菓子のいただきものがあったときにはお菓子の妖怪が登場したりします。
同じものを描くのが次第に面倒になったのか、ハンコを作って押すという合理的?精神も発揮。
コンドルも「コンテルくん」として、たびたび登場します。


kyosai006.jpg
そうはいっても暁斎さん、狩野派で修業しただけあって、真面目に書いた絵はやっぱりすごい。
これなんかも、太い筆で、無造作に「がっ!」と描いたように思える塊が、見事に鴉の形態を成している。
水墨画って、大胆に力強く描く部分と、緻密に細部まで書き込んでゆく部分とがあるのと思うのですが、この人は、そのフォルティッシモとピアニッシモの振れ幅が異常に広い気がします…。


kyosai009.jpg
狩野派に入る前は、歌川国芳のもとで修業したそうで、どことなく浮世絵を思わせる美人画もお手のもの。


kyosai010.jpg
と思ったら、美人に蛙の相撲を見物させてみたり 笑


暁斎の絵を見ていると、伝統的な流派の技術を身に着けながらも、その枠に収まることができずに飛び出して行ってしまうおかしなエネルギーを感じます。
単純に「新しいもの」(この時代であれば、「洋画」ということになるのでしょうが)だけが、イノベイティヴなのではないんですよね、きっと。


いや、しかし、話題の展覧会ということで、東京から人がいなくなるお盆を狙って見に行ったのですが、驚きましたねぇ。
あまりに混んどるので。
...。


にほんブログ村
kyosai011.jpg
「だじゃれを言ったのは、だれじゃ~!!」

おしまい。

category: 日用美術館

tb: 0   cm: 2

コメント

>マンガ的タッチでさらさらと描かれている上、お酒のいただきものがあったときにはお酒の妖怪、お菓子のいただきものがあったときにはお菓子の妖怪が登場したりします。

どこかのブログで見たことのあるような…?
もしかしてちま子先輩の師匠は暁斎だったんでしょうか…?

URL | small mouse #-
2015/08/22 11:53 | edit

コンテルくん...じゃなかった、ねずちゃん

> >マンガ的タッチでさらさらと描かれている上、お酒のいただきものがあったときにはお酒の妖怪、お菓子のいただきものがあったときにはお菓子の妖怪が登場したりします。
>
> どこかのブログで見たことのあるような…?
> もしかしてちま子先輩の師匠は暁斎だったんでしょうか…?

たしかに...。
これは、ちま子センパイに訊いてみないといけませんな。
「ちま子センパイの師匠は、だれじゃ~!!」と。
...。

URL | stick boy #-
2015/08/22 19:23 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://blognowhere.blog.fc2.com/tb.php/404-c1426ad3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)