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第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展  


さて、バレンタイン・デイに関するしょうもないネタを披露している間に閉幕してしまった今年の文化庁メディア芸術祭受賞作品展の模様を、備忘録として記しておきます。

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坂本龍一/真鍋大渡 「センシング・ストリームズ」
東京の街を、今、この瞬間にも飛び交っている電磁波。
我々の五感では知覚することできないその動きを捉え、映像・音像化するという作品。
手元のコントローラで周波数を変え、また、別の場所(であらかじめ記録されたデータ)との比較を行うことができます。
この街の、普段見ることができない一面を目撃したようで、「東京」を愛してやまない僕としてはなんだかすごくうれしくなってしまう。
(※オリジナル?は、札幌国際芸術祭2014で披露されたようで、その時は札幌駅前通地下歩行空間とモエレ沼公園にアンテナが設置されていたそうです)。

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そんな「東京」大好き人間の僕が、続いて心躍らせたのは...
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Jorgen AXELVALL  「I was looking for Park Hyatt Tokyo 」
パークハイアット東京を様々な場所、時間、視点から捉えた写真集。
突拍子もないものも多いこの展覧会では地味すぎるほどに地味ですが、対象への偏愛という点では、他の作品に負けてはいません。
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綴じるのではなく、箱に収めるという形になっています。
いつか猫写真集を作るとしたら、このスタイルでやりたいっ!
...誰か装幀してください。


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Emillio VAVARELLA 「THE CAPTCHA PROJECT」
FC2でも、コメントを投稿する際、画面に表示された文字を数字として入力するという作業が必要となりますが(ボットによる迷惑コメントを振り落す訳ね)、ああいった「キャプチャコード」を、海賊版美術作品の多くが作られているという中国・大芬村の画家たちに模写させたという作品。
その二重にも三重にもひねくれた意図を辿ってゆくうちに、デジタル時代のオリジナルと複製ということについて、考えずにはいられなくなります。
...しっかし、この意味なんてあるんだかないんだかわからない(...ていうか、ない)文字列と模様、なんてポップで綺麗なんだ。


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Ruben PATER 「無人航空機サバイバル・ガイド」
無人航空機...というか、無人攻撃機(今や戦争もリモート・コントロール)から身を守るかについて書かれた解説書(A3を一回り大きくしたようなペーパーに、裏表で印刷されています)。
ブラック・ジョーク...なんだろうけど、読んでいると結構暗い気持ちになってくる。
ジョークがジョークで済まなくなっている地域もあるんだろうし。


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ドリタ/エアガレージラボ 「Slime Synthesizer」
スライム(!)を入力デバイスに採用したシンセサイザー。
電極を手に持った2人が、それぞれ空いている方の手でスライムを触ると、通電して音が出る。
スライムの形状によって、音程が変わります。
...えーと、カップルとか、とても楽しそうであったよ。
...。


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下浜 臨太郎/西村 斉輝/若岡 伸也 「のらもじ発見プロジェクト」
お店の看板などに使われている文字って、大抵はその屋号についてだけのデザインなのだけど、それをサンプリングし、50音のフォント化、一般的に利用できるようにするというプロジェクト。
設置されたキーボードで、任意の文字列を画面上の看板に入力することができます。
フォントは購入することもでき、代金を持ち主に還元することで、小規模商店の応援にもつなげているとのこと!
「タイポグラフィにおける民藝運動」という心意気に惚れました!!
web上でも体験できます→のらもじ発見プロジェクト
なかなか面白いので、是非!
タイプ音にも郷愁を誘われます。


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近藤 玄大/山浦 博志/小西 哲哉 「handiii」
3Dプリンターを利用し、3万円程度で作ることができる義手。
安価なのでデザインに凝ることができて、例えば眼鏡や腕時計のようにファッション感覚で選択することができる。

僕ね~、実をいうと、「手フェチ」なんですよ。
腕からずっと1本で来て、掌から先で指という形で5本に分かれる...3本でも8本でもなく、5本という不思議!
その5本の指と掌が、お箸を持ったりギターを弾いたりしているのを見ると、それがどんな人のものであれ、その機能美に陶然とさせられる。
だからこの「handiii」が、「プロダクト」ではなく「アート」として評価されたことは、すごくいいことだなって思います。

このプロジェクト、クラウド・ファンディングで資金を募っていたんですね!(締め切り済み)
一口協賛したかった!!
次のステップの際は、絶対に!


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アニメーション部門の大賞はAnna BUDANOVA 「The Wound」


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マンガ部門の大賞は、津原泰水原作の「五色の舟」でした。


毎年のことですが、こういう展覧会を見てしまうと、21世紀の芸術分野には理系の才能が不可欠なのかな...と思って、絶望的な気分になったりします....。


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国立新美術館では、間もなく、ルーブル美術館展が始まります!
こちらも楽しみ!


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category: 日用美術館

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コメント

師匠の「文化庁メディア芸術展」の記事を毎年拝見しながら、いつか行ってみたいなぁと思います。京都はどうも古典が多くって…。
今年もそんな時期ですか…年月が過ぎるのは怖いくらい早いです。

>綴じるのではなく、箱に収めるという形になっています。
>いつか猫写真集を作るとしたら、このスタイルでやりたいっ!
>...誰か装幀してください。

その仕事、無類の紙好き、このsmallmouseが引き受けましょう!
でも本当にいつか猫写真集作りましょう、気の利いたひとことを添えて、絵本風に。
(いや、いっそパリ・ロンドン編なんかは紙芝居でもいいですね…?)
その時は真っ先に買いに行かせてもらいます!

そして代わりに、私の本でも作ってください…。

URL | small mouse #-
2015/02/19 00:17 | edit

箱形式の写真、私はメープルソープのものをみたことがあって、めちゃくちゃカッコよかった記憶があります。

ぜひぜひぜひとも作ってくだされ\(^o^)/

紙芝居、、ステキだわー
箱が紙芝居の舞台みたいになってて、、、とか、、
付録に駄菓子で、、(笑)

のらもじ、、カワユイわー

あぁ、、おばちゃんになってるわー
あめちゃん、、あげようか?(笑)

URL | ちまちま子 #-
2015/02/19 03:05 | edit

ちびねずみちゃん

> 今年もそんな時期ですか…年月が過ぎるのは怖いくらい早いです。
きみの場合は、成長著しいからいいですよ!
僕なんて、全く変わり映えしないまま年月だけが過ぎて行ってますからね…。
身も凍る恐怖を味わっております...。

> その仕事、無類の紙好き、このsmallmouseが引き受けましょう!
> でも本当にいつか猫写真集作りましょう、気の利いたひとことを添えて、絵本風に。
> (いや、いっそパリ・ロンドン編なんかは紙芝居でもいいですね…?)
よっしゃ、任せた!
小生、優柔不断ゆえ、プロデューサー的な役割を務めてくれる人が欲しいな~って思っていたのです。
しばらくは受験で忙しいでしょうけど、大学生になったら、マジで。

> その時は真っ先に買いに行かせてもらいます!
ギャラ代わりに大量に進呈するので、売りさばいてください。

そういえば、ロンドンとパリで撮った猫写真、アップしていなかったね。
次回、披露しましょうか。

> そして代わりに、私の本でも作ってください…。
おおっ!ついに制服美少女写真集のご用命がっ!
...。
...。
...ちびねずみちゃん…蹴っちゃ、ヤ。

URL | stick boy #-
2015/02/19 21:26 | edit

ちま子センパイ

> 箱形式の写真、私はメープルソープのものをみたことがあって、めちゃくちゃカッコよかった記憶があります。
メープルソープも箱型写真集があるんですか。
僕は...フォトブック作りたいなぁ...って思って、年末くらいから、これまで撮った写真を並べ替えたりしてあれこれ考えていたのですが、優柔不断な性格が災いして順番さえ決められず...。
で、このパークハイアット写真集を見た時に、「カード状にして、見る人に組み替えてもらえばいいじゃん!」って思ったのでした。
ちま子センパイも、ブレーンとして、是非協力してください...これまで以上に <(_ _)>

> あめちゃん、、あげようか?(笑)
知恵と勇気をくださいっ!

URL | stick boy #-
2015/02/19 21:33 | edit

今回、初めて行きましたよー!
私、一番つぼったのは、のらもじですね。
あんなに面白いのに、意外と競争率が低い(挑戦者がさほど多いわけでもなく、特に待ちもせず試せる)のもよかったです(笑)
無難に「コクリツシン…」とか「ロッポンギ」とか打つ人も多かったですが、よく考えるとああいう風情ある商店にロッポンギなんて店の名前、素敵だなぁと。

展示数が多くて、マンガアニメ部門はさらさら〜っと眺めて終わってしまいました。
これで無料なのは、すばらしい。
stick boyさん手フェチだったんですね笑

はっ今、コメントと送信するときの認証入力であの作品を思い出しました。

URL | クララ #-
2015/02/20 01:42 | edit

クララさん

> 今回、初めて行きましたよー!
> 私、一番つぼったのは、のらもじですね。
> あんなに面白いのに、意外と競争率が低い(挑戦者がさほど多いわけでもなく、特に待ちもせず試せる)のもよかったです(笑)
おおっ!行かれたんですね!
実を言うと「のらもじ」見たとき僕、「これ、クララさん好きだろうなぁ...」って思ったんですよね。
いつぞやの京都旅行の際の記事が頭をよぎって。

> 無難に「コクリツシン…」とか「ロッポンギ」とか打つ人も多かったですが、よく考えるとああいう風情ある商店にロッポンギなんて店の名前、素敵だなぁと。
どんなにオシャレな文字列であっても、「ひらがな」や「カタカナ」にした瞬間に骨抜きにする...これこそが我が国が世界に誇るべき技術かもしれません...。

> stick boyさん手フェチだったんですね笑
そうなんです!
実をいうと、テレキャスを弾くクララさんの手を眺めて、悶絶していたり...。
...冗談はさておき、「のらもじ」の「タイポグラフィにおける民藝運動」というフレーズではありませんが、「手」だけはでなく「手仕事」的なものにも惹かれます。
最新のテクノロジーを駆使しながらも、スライムだったり、(記事には書きませんでしたが)鉄拳のパラパラマンガだったり、あるいはパペットを使ったコマ撮りのアニメだったり、「触感」や「手」による作業が大切にされているのが、この展覧会の面白いところだと思っています。

> はっ今、コメントと送信するときの認証入力であの作品を思い出しました。
思い出しますよねぇw


URL | stick boy #-
2015/02/20 23:10 | edit

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